(49) セミノハリセンボン (49) セミノハリセンボン


(解説)アブラゼミやミンミンゼミなどセミの体表のほぼ全面に生じる。高さ0.3~1.5ミリ。虫ピン様。 淡い灰紫色の胞子が粉状に生じる。日本各地の林内の地上で発生する。


「あっ、こんなところにセミが?」皆の視線が思わずそこに集まった。それは真冬の出来事であった。
 チョウがサナギで越冬している様子を観察しようと、みどりのボランティアの人たちが、落ち葉を一枚一枚丁寧に調べていたときのことである。宝物を見つけたときのような笑顔のKさんが、手のひらに乗せて差し出したのばアブラゼミであった。落ち葉も茶色、アブラゼミの体も茶色である。初めは「変な落ち葉だな」と思ったのだという。
 ところで、よくよく見ると「変なアブラゼミ」なのである。体はもちろん翅脈までにも、小さな白いとげ状のものが、100本いや1000本も出ているのである。ルーペでのぞくと、その一本一本の先が球状になっていて待ち針を突き刺したように見えた。
 それは「セミノハリセンボン」という見かけどおりの名が付いたキノコの仲間である。セミの外形はしっかりしているが。内部をのぞいてみると、筋肉も内臓もそのキノコの菌糸に侵されていた。昆虫も、私たち人間と同じように病気にもなる。セミの体内に、いつキノコの菌が入り込んだのであろうか。自然は、疑問がいっぱいである。
 それはともかく、一生を終えたセミの体を分解して土に戻すという重要な役目を、セミノハリセンボンが果たしていることは間違いないのである。