(48) ヤマシギ (48) ヤマシギ


(解説)成鳥は全長35センチ。北海道から九州、伊豆諸島など全国的に繁殖する。秋冬には人家付近の公園や竹やぶなどにいて、夕方から活動してミミズなどを食べる。


 丹沢の植物調査のため、朝5時に家を出る。きょうの日の出は6時51分。外はまだ暗く、星を眺めながらの出発である。
 白く見える息を弾ませながら駅への道を急ぐ。途中20メートルほど先の路上に何か物が落ちている。腰をかがめて街灯の明かりに透かしてみると、崩れかけたダンボール箱のように見えた。
「早朝通ったトラックが、荷台から落としたものであろう」と、一人思いながら近づいてみて驚いた。その物が急に跳ねるように遠のいたのである。
 暗がりに慣れてきた目を凝らして見ると、中型の鳥で、右羽は畳んでいるが、左羽はくの字にだらりと広げて地面を引きずっている。思わず両手で取り押さえ、胸のところへ抱きかかえる。羽毛がふっくらとし、つややかさと温かさが命の鼓動となって手に伝わってくる。
 それは、傷つき、空を飛べなくなった「ヤマシギ」であった。
 空に向かって林立する電柱、空間を仕切るように張り巡らせた電線。それはどこの街でも見られる当たり前の風景と私たち人間は認識しているが、空を通路としている野鳥の頭にはインプットされていない。えさをとるため夜飛び回るヤマシギはそれに気付かず、電線に激突して左羽の骨を折ってしまったのであろう。