(46) キチョウ (46) キチョウ


(解説)羽が黄色だからキチョウ。本州、四国、九州、南西諸島に分布し、ネムノキ、メドハギ、クサネム、マメ科植物などを食草とする。


「越冬型のキチョウを見分けられるようになったわ」と若いNさんが、明るくそう話しかけてきた。
 日だまりに目をやると、咲き残ったコセンダングサの花に、エ匹のキチョウが長いストローを弓なりに伸ばしてみつを吸っている。
 ほかの昆虫たちが、すっかり姿を消したというのに、キチョウだけが花の上でのんびりとしているように見える。
 ところで、チョウの仲間の冬越しは、卵でするもの、幼虫でするもの、さなぎでするもの、そして成虫の形・チョウでするものとまちまちである。その中でキチョウは、成虫で越冬する手段を選んだのである。
 夏のころのキチョウは、羽の周りが黒く緑取られているが、秋に羽化した越冬型のチョウは、縁取りは消え、羽全体が黄色に染められているので区別できる。そして、枯れ葉の茂みに止まると、黄色地に茶の細かな虫食い模様を散りばめた羽の裏側が現れ、チョウは冬枯れの中に溶け込んで、姿を消してしまう。自然が考え出した不思議なデザインなのである。
 Nさんと話をしている間も、キチョウはみつを吸い続けている。冬に備えて体脂肪を蓄えているのだ。
「越冬型のキチョウよ、精いっぱい頑張れ」と、つい声をかけてしまう12月なのである。