(44) フジアザミ (44) フジアザミ


(解説)日当たりのよい砂利地や河原を好み、関東から中部地方の底山帯上部から亜高山帯に生え、高さ1メートルにもなる巨大な多年草。根生葉は輪状に集まリ70センチにもなる。花は紅紫色で6~10センチの大型のものをつける。


 ヤビツ峠でバスを降り、丹沢の表尾根へと山に入った。急な登りの連続、二ノ塔間近のがれ場には、ひと抱えもあるフジアザミが大きな葉を広げ、10センチもあろう花をいくつも付けていた。振り返るとアザミの花の向こうに、大山の峰が高く、大きく迫って見えた。
 わが国で見られるアザミの種類の中で、株が一番大きく、大輪の美しい花を咲かせるのがフジアザミである。深く切れ込んだ葉の先端には、鋭いとげがあり、うっかり触れるものなら悲鳴を上げてしまうほどである。
 アザミの仲間は、山菜として利用されるものが多いが、フジアザミも根が大きく「富士ゴボウ」「須走ゴボウ」と呼ばれていた。
 土産物屋に並ぶ「山ゴボウの漬物」は、始めは、富士山ろくに自生するフジアザミの根を掘り取り、加工したものであったという。
 さて、伊勢原の大山には、フジアザミは自生しているのだろうか。登山道を歩いている限りでは、その姿を見ることはできないのだが。
 しかし、大山山頂を裏側に回ってみると、山肌が足元から鋭く崩れ落ち赤い地肌が表れているところがある。たえず表土が流れ、草木もなく、シカの足跡も途絶えるそんなところに、フジアザミは花をつけていた。
 そこからは、二ノ塔、三ノ塔をはじめ、丹沢の山並みが迫って見えた。
 大山のフジアザミ・、丹沢の山々が種子を飛ばし、それが、パイオニアとして根付いたものであろうか。