(42) ミツバアケビ (42) ミツバアケビ


(解説)つる植物でほかの木に絡み、かなり高い位置にまでのぼる。果実は10センチほどで、美しい紫色になる。以前は、子供たちの大事なおやつであった。動物や野鳥に食べられ排泄された種子はよく発芽するらしい。


 昨秋は、クヌギも、サルナシも、サンカクヅルも、山の木という木はたわわに実を付け、大豊作の年であった。山に住む動物だけでなく、山歩きをする私たちも、山の神に感謝しつつ秋の味覚を堪能した。
ところで、山道を歩いていると、ふと動物の気配を感じることがある。この日も、若葉が光る5月の尾根道を歩いていると、急に動物の気配を感じた。そよ風にのって動物らしき臭いが漂ってくる。尾根道を外し、その方向へと林の中へ入って行くと、落ち葉の積もった林床に、1メートル四方ほどの地面が黒く色づき盛り上がっている。「タヌキのためふん」なのだ。が、においは鼻をつくほどでもない。長いことトイレとして使っていたのであろう。下方はすでに分解して泥化しているが、上部は新しく、中にさまざまな種子が含まれているのが見える。
そんな中に、何十本ものミツバアケビの芽生えがあった。木の葉が揺れ、柔らかなこぼれ日が差し込むと、2枚の子葉の間からしなやかに伸びた柄の先に、3枚に分かれた本葉が、日に透けて浮かび上がった。
ここのタヌキたちも、昨年の秋には豊作に預かり、厚い皮をぱっくりと開け、中に詰まった甘いあんこのようなミツバアケビの果肉を腹いっぱい食べ、腹鼓を、いや舌鼓を打ったのであろうか。