(41) オトメスミレ (41) オトメスミレ


(解説)スミレの種類は、二つのグループに大別することができる。一つは地上に茎が立たないグループで、花や葉が根元から出ている。多くのスミレはこのグループに人る。ほかの一つは、タチツボスミレなどで茎が立つので区別できる。


 オトメスミレに初めて出合ったのは、3年前の4月、子易のまちを一望にしている大山桜を見に行ったときのことであった。
 辺りはヒノキの植林地で、昼でも薄暗く、下草のほとんど生えていない地面に、ただ一輪「私の姿に目を留めてほしい」と、ささやいているかのように、白いスミレの花が咲いていた。それは、ほんの小さな明かりを灯し、辺りを照らしているかのように見えたのであった。
 ところで、伊勢原で見られるスミレは12種類ほど。中には白い花を咲かせる種類もある。その中にあって、一目で「これは、オトメスミレだ」と分かるのはなぜだろうか。
 伊勢原のスミレの代表格といえば、タチツボスミレであろう。立ち上がった茎から伸びる紫色のたくさんの花は、春の野や林の縁を飾り、多くの人の目を楽しませてくれる。実のところ、オトメスミレはタチツボスミレの一品種で、花色の紫が白色に変化したものなのである。だが、オトメスミレの決め手は、花全体が白ではなく、下の花弁が後へ突き出た蜜つぼの部分が、乙女のほおに薄く紅を差したかのように紫色が残っているのである。
 その後、大山桜の尾根では見かけないが、伊勢原を歩いてみると思わぬ所で見かけたり、群落に出合ったりしている。4月の野山を歩いてみてはどうだろうか。可憐なオトメスミレにあなたも出合えるかもしれない。