(36) ウラナミシジミ (36) ウラナミシジミ


(解説)分布は総半島以西の温暖な地域。国外では、アジア、アフリカ、ヨーロッパなどに広く分布する。食草はマメ科の植物の花、つぼみ、果実。


 ヤマハッカの紫色の花が森の小道を飾っている。「あら! ウラナミシジミ」。広げた羽は青色に光っているが、閉じると鮮やかなさざ波模様が現れた。そこかしこに何匹かのチョウが唇形の花の中にストローを伸ばしては蜜を吸っている。
 思わず声が出てしまったのは、毎月歩いているコースなのに今年初めてお目にかかったからだ。
 決して珍しい種類ではないこのチョウが、私たちの目の前に現れるのは決まって秋のころなのである。なぜだろうか。
 このチョウの故郷は気候温暖な地中海沿岸で、そこから世界各地へ広まったといわれている。そこで、日本の冬の寒さには耐えることができず、どこか温暖な地で過ごした個体が、再び各地に広がるものと考えられていたが、謎に包まれていた。
 ところが40年ほど前、高校生により房総半島先端無霜地帯にあるソラマメ畑で冬を過ごしている幼虫が発見され、謎は解き明かされた。毎年春になると羽化し、徐々に数を増やしつつ北上を続け、秋のころには北海道までに到達するといわれている。このころには最も増え、私たちの目にも止まるのである。
 ウラナミシジミの羽の裏にある金色のさざ波模様は、タ日に映える生まれ故郷の海を思いはせているのであろうか。