(33) オオマツヨイグサとスズメガ (33) オオマツヨイグサとスズメガ


(解説)北アメリカ原産だが ヨーロッパで品種改良されて大きな花を咲かせるようになったと思われる。花の直径は7センチほど。タ暮れと共に咲き 翌朝しおれる。なお 文中の「ホバーリング」とは、花に止まらず空中を飛びながら蜜を吸うこと。写真のガは、エビガラスズメ。


 タ暮れ7時、やっと暗くなりだした屋外へとタ涼みに出てみる。まだ慣れぬ目には、一面暗がりにしか見えない中に、一つ二つと黄色い明かりがともされていくように見えた。「何だろうか」と近づいてみると、そこはオオマツヨイグサの小さな群落で、まさに花が咲き始めたところであった。
 花が咲きそろったころ、暗闇の向こうからスズメガの仲間が姿を現す。そして、花に止まることなくホバーリングをしながら自分の体より長いストローを伸ばし、花の中心へ命中させ蜜を吸うのである。花が蜜を出して昆虫を誘うのは、受粉を助けてもらうためだが、スズメガのように花に止まらないと、蜜を吸われるだけになってしまう。そのためであろうか、花粉をネックレスのようにつなげ、花粉の一部がスズメガの体に触れると数珠つなぎに伸びてストローや体にまとわりつく仕組みになっている。スズメガも、たくさん花粉がまとわりつくと、飛びながらしごくようにして花粉を払い落としてしまうのである。
 さて、オオマツヨイグサとスズメガの両者は、受粉と吸蜜という強い絆で結ばれているが、その反面、ネックレス状の花粉とホバーリングという駆け引きも見られ、人間社会の一面を垣間見たように思えるのだがどうであろうか。