(27) クロナガアリ (27) クロナガアリ


(解説)体長4~6ミリ。10~2月ころに活動し、野草の種子を集める。低 温に強く、冬の時期でも地上が凍り付いている朝から活動を開始し、巣穴からはい出してスローモーションよろしく歩き出す。


 多くの昆虫が活動を停止する冬のさなか、わざわざ巣穴から抜け出して活動を始めるアリがいる。「まさか?」の声が返ってきそうだが、本当の話なのである。
 その名はクロナガアリ。どこにでもいるごく普通のアリである。私たちの足元を今も歩いているはずだが、この「まさか?」の意識がじゃまをして地面をじっくり見ていないのである。
 クロナガアリは、ほかのアリと違って野草の種子を食料としていることから、種子が実る秋のころから地上にはい出し、落ちた種子を拾い集めては巣穴に蓄える。だが、せっかく巣穴に
運んだ種子も、発芽しては食用にならない。そこで、発芽しにくい比較的湿度の低いところに種子の貯蔵庫は作られ、そのために巣穴の深さは地中四、五メートルにも達するという。
 小さなアリのどの部分に、こんなすごい知恵と力が秘められているのだろうか。
「働き者のアリさんは、夏に汗水流して働いたため、冬の間は暖かい部屋で過ごすことができました」とは、子どものころ読んだイソップの童話「アリとキリギリス」の話だが、それとは全く逆なのである。
 自然とは、意外性の集まりであろう。