(26) セイヨウタンポポ (26) セイヨウタンポポ


(解説)カントウタンポポは花を支えている包が上向きに並ぶが、セイヨウタンポポは反り返つているのが特徴。春先だけでなく、今の季節も少ないながら花を付けて種を飛ぼす。葉が地面に張り付いた形で真冬を越す。ヨーロッパでは食用に栽培されてもいる。


「力ントウタンポポに合いたくて家の近くを歩いてみたが、セイヨウタンポポばかりでがっかりした」。こう嘆いている人に出会った。
 確かに、家が立ち並ぶ辺りを歩いてみるとセイヨウタンポポばかりが目につく。それは、外来種特有のおう盛な繁殖力にものをいわせて勢力を広げているように見えるが、セイヨウタンポポだけに原因があるのであろうか。
 雑木林を背景に、緑の畑が広がる農業地域を歩いてみると、よく手入れされた畑の土手などにカントウタンポポを見つけることができる。そこには、以前からそこで生き続けている野草や昆虫の姿もあり、今も変わらぬ昔の伊勢原の自然を見ることができる。
 では、セイヨウタンポポはというと、市街化の進んだ地域や放置された土地など、以前とは異なったすき間の環境に次々と侵入し、勢力を拡大しているのだ。そこには、私たち人間の暮らしぶりがくっきりと映し出されている。
「人が踏み込むことのない大自然とは違い、人里の自然は、農業や林業の営みがその豊かな緑を支えている」。セイヨウタンポポとカントウタンポポのすみ分けを見ていると、そんなことを私たちに教えているように思えるのである。
 沈みゆく師走のタ日を背に、きょうもまた、セイヨウタンポポは種をパラシュートに託してすき間の環境を求めて旅立つ。