(25) ヌルデ (25) ヌルデ


(解説)山野に生える落葉小高木で、葉の軸に翼があるのが特徴。8~9月に 円錐状に多数の白い小さな花が咲く。雌雄別株。果実は4ミリほどの偏球形で、塩辛い白い粉をかぶっている。葉にできた虫こぶを五倍子(ごばいし)と呼ぴ染色などに利用する。


 大山山頂で始まった紅葉が、人里の雑木林まで降りてくるのは、十一月も半ばを過ぎたころからである。そんな秋の風景をスケッチしようと色鉛筆のケースを開いてみたら、なぜか赤と黄色の鉛筆が入っていない。いくらほかの色がそろっていても、深まる秋のようすを表現することはできない。
 ヌルデは、雑木林には欠かすことのできない木であり、よく日のあたる林の縁で必ずといってよいほど見かけるものである。夏のころには、鳥の羽状に開いた緑の葉を大きく広げているものの、林の木々の緑にとけ込んで目立たないが、秋ともなると出番よろしく緑の葉を赤く染めて存在をアピールするのである。
 紅葉は、一般的に立冬のころに吹く木枯らし一号の寒冷刺激によって引き起こされ、それから二十五日過ぎころが最盛期にあたるといわれている。
 さて私たちは、紅葉した木々がつくり出す風景に出合うと思わずカメラを向け、スケッチブックに絵筆を走らせたい思いにかられる。が、赤や黄色が織りなす風景は、木々が私たち人間のために用意したものなのであろうか。答えが「ノー」であるならば、だれのために、何のために用意された色彩なのであろう。
 ヌルデの葉に休むセスジツユムシ、彼女の目にも秋の景色が映っているのであろうか。