(23) エサキモンキツノカメムシ (23) エサキモンキツノカメムシ


(解説)体長は11〜13ミリで、全国的に広く分布する。雌成虫は、卵や幼虫を保護する習性がある。ミズキ、クマノミズキ、ハゼノキ、カラスザンショウなどの葉上で見られ、繁殖の大部分はミズキで行われる。


「面白いカメムシがいますよ」と案内者の声。指し示す先を見てみると、小さなカメムシが下草の上で休んでいる。
「背中にハートの紋がついているよ」「ほんと、すてきなカメムシね」。楽しそうな言葉が参加者の口から次々と飛び出す。
 これは、毎月、日向の日陰道を歩いている「みどりのボランティア」での一コマである。
 この昆虫の名は、エサキモンキツノカメムシ。「じゅげむ、じゆげむ…」と長い長い名前を付けた落語はだれでも知っていると思うが、このカメムシの名前も昆虫としては長い方に入るであろう。覚えられそうにない名前のように思えるが、胸の両側に突き出した角、背中にあるハート型で黄色の紋は印象的で、一度出会った人は、その名が忘れられなくなるというから不思議である。
 ところで、このカメムシのメスは、生んだ卵が鵬化(ふか)するまで自分の体で覆い、一歩も動かずに守り続ける。もし、アリが卵に近づこうものなら、その方向に体を傾けて卵をガードし、カメムシ特有の臭い液を出して撃退するのである。試しに、指先を近づけてみても同じ姿勢をとる。
 背中のハート印は、ただの紋様ではなく、母力メムシの、仙意気を表しているようにも見えてくるのである。
 さて、みなさんも緑豊かな日陰道を歩いてみてはいかがだろうか。きっと、ハートに強く焼き付く自然が待っているはずである。