(22) カラスウリ (22) カラスウリ

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(解説)雌雄別株で、写真は雌花。林のふちや人家の近くのやぶなどでよく見かける。茎は細く、巻きひげでからみつきながら伸び上がる。葉は6〜10センチほどの幅があり、3つから5つに浅く切れ込む。花期は8〜9月。秋につける赤い実はよく目立つ。


「ウエディングドレスの生地みたい」。だれかがつぶやいた。
 純白の細い糸で細かに編み上げられた花びらは、若い人の目にはそう映ったのであろう。懐申電灯の光の中に浮かび上がったそれは、幻想的な雰囲気をかもしだしていたが、光を持たないカラスウリが、タ闇の中でなぜこんなにも手の込んだ繊細な花を咲かすのであろ
 やがて、音もなく飛釆したスズメガの仲間が、花の上まで釆るとへリコプターのようにホバーリングしながら空中で静止した。すると巻き込んであったストロー状の口をくるくると伸ばし、その先端を花の中心に命中させてミツを吸うのである。タ暮れとともに開く花と活動する昆虫。お互いに相手を選んでいると思われるが、カラスウリの純白なレースの花びらは、スズメガの目にはどのように映っているのであろうか。
 翌朝、カラスウリの花を訪ねてみると、昨夜の優雅さは消え、花はよれて小さな糸くず状の固まりとなり、哀れな姿をとどめていた。「一夜の花」なのである。
 自然を眺めていると、不可思議に思えることが多い。それは、私たちが人間の目で見て、人間の頭で自然という対象物を理解しようとしているからであろう。
 自然に対しては、人間の立場ではなく、自然の立場に立って対応しないと、大きな過ちを犯しそうである。