(21) カブトムシ (21) カブトムシ


(解説)夏の終わり、雌のカブトムシは落ち葉の下に潜り込み、土との境に3回に分けて100個ほどの卵を生む。やがて幼虫はふ化し、回りの分解した落ち葉を食べて育ち、脱皮を3回繰り返して冬越しをする。春になると再び成長し、幼虫は10センチほどになる。成虫は樹液を好み、雑木林に集まる。


「土の中からプラスチックで出釆た昆虫のおもちやが出てきたよ」。昆虫を探していた子どもが驚いた顔でこう叫んだ。
 よく手入れされた雑木林の片隅には、落ち葉が集められている。落ち葉をかき分けていくと、下の方は腐葉土になっている。その部分を移植ごてで削るように掘っていくと、土のように固まっている所がある。なおも削ると突然小さな穴があき、中から生ゴムで作ったような昆虫が頭を出したのだから驚いたのも当然である。穴の中には、ニワトリの卵ほどの部屋が出釆ていて、周囲は土壁になっている。カブトムシのさなぎとその部屋なのだ。
 カブトムシの幼虫は、さなぎになるとき、体の大きさに合わせて部屋の広さを決める。壁はというと、柔らかな体を何百回、何干回とくねらせて周りの土を押し固める。その腕前は年季が入った職人技そのものである。
 ところで、さなぎといってもよくご存じのチョウのそれとは違い、体の仕組みはすっかり出釆上がっている。穴からは二本の立派な角がのぞいていることから雄であることが分かる。
 しかし、昆虫の王者であるカブトムシの雄としては、角が短すぎる。これでは相手に負けてしまうに違いない。が、心配は無用である。角の部分をよく見ると、縮めたときのアコーディオンのようにしわがよっている。さなぎの皮を脱ぎ、成虫になるとき、角は伸び、立派な雄のカブトムシが誕生するのである。