(12) 彼岸花 (12) 彼岸花

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(解説)ヒガンバナ科。ユリに似た赤い花が数個輪状に咲く。6枚の花弁、6本の雄しべが雌しべとともに長く外へ飛び出している。  日本のヒガンバナは、稲作とともに、南方から中国を経て渡って来た史前帰化植物と思われる。  花が咲いても結実はせず、球根で増える。球根はアルカロイドを含み有毒。


「花は葉見ず、葉は花見ず」ってなあに?
 昔のなぞなぞである。その答えは、「ヒガンバナ」だ。
 この花は、毎年秋の彼岸が釆ると忘れることなく真っ赤な花を咲かせる。しかし、よく見ると茎の部分にも地上部にも葉が見当たらない。やがて、花が終わり枯れかかると地中の球根から葉が伸びてくる。秋から冬にかけて葉を茂らせ養分を蓄えるのだ。花と葉は常にすれ違いの一生を送り、互いに顔を合わすことがない。
 ヒガンバナがまとまって咲いている場所は、田んぼとその周辺の土手で、草が芝生のように刈り込まれ手入れが行き届いているところだ。草丈の高い茂みの中では咲いてはいない。ヒガンバナは、背の高い草に覆われては生きていけないのである。あぜや土手の草刈りなど、農家の人の汗の結晶がヒガンバナを咲かせているのだ。
 ヒガンバナ自身は、花と葉はすれ違いの一生を送っても、我々人間と自然との関係はすれ違いではなく、共生でなければならない。
 伊勢原の秋を彩るヒガンバナは、農家の人が守り続けた人里の原風景なのである。